2011年7月2日 (第2982回)

人口統計地図からみる人々の暮らし ~京都の明治・大正・昭和

衣笠総合研究機構 ポストドクトラルフェロー 桐村 喬

 都市の中で人々がどこに住み、どのような生活を送っていたのか。人口統計は一見すると無機質な数字の羅列にも思えますが、地図を通してその空間的な広がりを観察することで、そうした都市で営まれてきた人々の暮らしの一端を知ることができます。

 私は、現在、京都を含む日本の六大都市(東京・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸)に関する人口統計資料の収集とデジタルデータ化に取り組んでおり、その地図化も進めています。京都については、1911(明治44)年に実施された臨時人口調査をはじめとして、国勢調査などの結果に関する学区や町単位の人口統計が残されていて、明治から大正、昭和にかけての京都の人々の暮らしを窺い知ることができます。例えば臨時人口調査では、年齢や職業だけでなく、宗教までもが調査されており、興味深い地図を描くことができます。  今回の土曜講座では、明治末期の臨時人口調査や国勢調査などの人口統計の地図から読み取ることのできる、明治・大正・昭和期の京都の人々の暮らしについて考えてみたいと思います。

聴講者の感想

 世帯人数・人口密度・昼間在宅者割合等々から、地域別の商工業区分や、その集積並びに分散等を分析していく手法は大変興味深く、楽しく講座を聴かせて頂きました。戦争に伴う五条・御池・堀川通の拡幅のお話はありましたが、より時代時代における政治・政策との関係をもう少しお伺い出来ればと感じました。有難うございました。