2011年7月16日 (第2984回)
船鉾の中を覗く ~コンピュータグラフィクスの新しい潮流
衣笠総合研究機構 ポストドクトラルフェロー 長谷川 恭子
コンピュータグラフィクス(CG)とはその名の通りコンピュータを使って絵を描くことであり、"科学技術を使ってアートを作る"と言えます。最近では現実世界の現象や建造物のシミュレーション、工業用デザインなどにもCGは応用されています。CGが登場してから半世紀あまりですが、パソコンの普及や技術的な進化ともに飛躍的な進化を遂げています。CGは今やパソコンの画面だけでなく、TVや映画など日常生活の中で目にするようになってきています。まるで本物かと見紛うような映像や近未来的な映像から過去の遺産まで、CGでは様々な映像を表現することが可能です。
近年では一般的にCGといえば3次元CGを指すことが多くなっています。3次元CGでは、表現したい物体の位置関係を計算し、色や質感、照明などを処理して1枚の絵を作成します。この処理の仕方によって写実的な絵やアニメ調の絵など多種多様な絵を作成することができます。本講座では、CGの新しい見せ方を紹介し、現実では目にすることのできない船鉾の内部構造をお見せします。
聴講者の感想
CGの進化と普及は目覚しく、時として現実と虚構の狭間に揺れ心の葛藤を生じかねないが、際限のない利便性はいまや欠かせない技法である。本日、由緒ある山鉾巡行に連なる船鉾を対象に、伝統の精髄をCG手法で解明されたのは、瞠目に値する成果であり意義深い。特に日本の民族所産と外来思想との融合が日本文化の発展に寄与した実態が印象深く、将来の布石に向け更なる追究が俟たれるであろう。