2005年10月22日 (第2748回)
アスベスト不使用の社会的合意
政策科学部教授 小幡 範雄
現在、どの新聞を開いてもアスベストの記事は載っている。アスベストの被害を考えるうえで最も問題になる特徴としては潜伏期間が40~50年もあり、現時点での対応策は有効なものは少ないといえる。
アスベストによる中皮種などの被害状況は1970年ごろからわかっていた(確認できる最初の労災認定は1973年)。この被害を予防する手立てとして使用禁止はどのような経緯でなされたのか、各省庁の縦割り行政との関りから検討した。
現時点では、使用禁止の方向になりつつあるが、当時(1970~1980)の状況下で果たして使用禁止は可能であったのか、チカラ、カネ、コトバという社会的合意を図るための概念を用いて考察したが、全体の雰囲気としては可能性は低かったといえる。
アスベスト被害のような特徴を持つ製品の使用とその使用の禁止をどのように考えればよいのかを提言してみたい。