2005年11月5日 (第2750回)

等持院をめぐる室町文化

文学部教授 川嶋 將生

 室町の文化は、臨済禅との関係を抜きにしては語れないでしょう。あるいは公家と武家との密接な交流を抜きにしても、語ることができないでしょう。

 前者についていえば、夢窓疎石と足利尊氏との関係をはじめとして、京都五山の制度を確立したのも足利政権ですし、後者についていえば、尊氏以来の歴代足利将軍は、摂関二条家とは非常に親しい関係にありました。

 近年では、足利将軍の側近として、多くの公家が存在していたことも明らかにされてきております。足利氏が、政権の所在地を京都に定めたことからひきおこされた問題でしょう。こうした室町文化の特質を、等持院と足利将軍歴代との関係のなかで考えていきたいと思います。