2012年5月5日 (第3013回)

第二次世界大戦中のハワイ: ハワイ在住日本人、日系人のたどった運命

立命館大学文学部 准教授 小川 真和子

 ハワイの真珠湾は、1941年12月8日(日本時間)、日本軍による攻撃にさらされました。その当時、ハワイの総人口のうち37%以上を日本人およびその子孫が占めており、真珠湾攻撃による太平洋戦争の開始は生活に色濃い影を落とすこととなります。アメリカ西海岸と異なり、また日系住民全員が強制収容所に送られたアメリカ西海岸とも異なり、ハワイでは限定的な人数のみ強制収容されました。そしてその他の日系住民はそのまま日常生活を営むことができたものの、ハワイ諸島は戒厳令下におかれて生活の様々な側面で制約を受けます。そのような環境において、多くの日系人は戦争によって引き裂かれた祖国との絆に心痛む思いを抱えながら、戦争景気に沸くハワイでビジネスを広げ、二世はアメリカ人として軍隊に志願し、日々の生活を懸命に送りながら、戦争の終結を待ったのでした。

20120505

「1930年代にハワイでカツオ一本釣りをする和歌山出身の漁業者」

※ハワイ州立公文書館(Hawaii State Archives)所蔵※

聴講者の感想

 戦争は、人間をおかしくする。強者が弱者を踏みにじる。二度とおこしてはいけないことを再確認した。現在は局地戦以外の戦争は破滅につながるから起こりえないであろう。前の大戦は帝国主義的領土獲得競争。今は確実に領土がなくとも、資本が国を支配できる。血が流れないのは良いことではあるが。