2012年6月9日 (第3017回)

今中東で何が起こっているのか: 民主化とイスラーム主義

立命館大学国際関係学部 准教授 末近 浩太

 2011年にチュニジアとエジプトから始まった民主化運動「アラブの春」は、中東地域だけではなく、国際政治を揺るがすような世界史的な事件となっている。この巨大な政治変動のうねりは、当初、欧米諸国を中心にいわば「進歩」や「安定化」の兆しとして歓迎された。しかし、リビアでは内戦、シリアでは市民に対する武力弾圧が起こり、また、チュニジアやエジプトでは選挙を通してイスラーム勢力の伸張が明らかになったことで、こうした楽観論は後退しつつある。

 今中東では何が起こっており、中東はどこに向かおうとしているのか。イスラーム勢力の台頭は中東政治にとってどのような意味を持つのか。「アラブの春」を大きな歴史の流れのなかで位置付け、その意義と今後の展望を考えてみたい。

聴講者の感想

 今中東で起こっていることについて幕末に例えて分かり易く説明していただきありがとうございます。 革命においてさえも、時代を反映して、長期ビジョンを持たないことが起きる。世俗主義の代表アメリカにしてもイスラムの代表イランにしても、中東の人にとっては今後作り上げていく国の見本とはなりえないと思っているのであろうから、どのような国になるか興味を持って見守っていくしかないのか。