2012年8月25日 (第3026回)
平和の概念と平和教育のあり方 ―国際平和ミュージアム20年の軌跡
安斎科学・平和事務所 所長 国際平和ミュージアム 名誉館長 安斎 育郎
「戦争がなければ平和か?」─これは国際平和ミュージアム2階の「平和創造展示室」に掲げられている問いかけである。今日では、平和を「戦争のない状態」ではなく「暴力のない状態」と理解する傾向にあり、暴力を「能力の全面開花を妨げる原因」と広く理解する傾向にある。そして、戦争・殺人・いじめなど「暴力の行使者を直接認識できるような暴力」は「直接的暴力」、飢餓・貧困・社会的差別・人権抑圧・環境破壊などの「社会のありように根差した暴力」は「構造的暴力」、直接的・構造的暴力を助長したり正当化するような文化のあり方は「文化的暴力」と呼ばれる。国際平和ミュージアムの地階展示室は、直接的暴力としての戦争について学ぶ「平和のための戦史資料室」を主たる性格としているが、ミュージアムは20年の歩みの中で2階に「平和創造展示室」を展開し、構造的暴力の問題にも取り組んできた。講座では、私が40年来取り組んできた原発問題にもふれながら、これらの暴力の3類型について深めてみたい。
聴講者の感想
貴重なお話を聞かせていただき、大変ありがとうございました。
戦争や社会的な要因を含め、私達の平和が日々おびかされていると思います。講座を聴いて改めて、人を思いやる気持ちが大切だと感じました。「世界平和は家族から」と言いますし、我々の子どもたちを大切に育てたいと思います。そして思いやりのある、将来しっかりとした目標が持てる人間に育って欲しいと思います。