2012年9月15日 (第3029回)
自然エネルギーの有効利用と低炭素社会の模索
立命館大学理工学部 特任教授 酒井 達雄
18世紀後半のワットによる蒸気機関の発明が産業革命の起爆剤になったことは良く知られており、モノづくりの形態と規模が文字どおり革命的に変化した。以降、長年にわたり石炭・石油を大量消費し、種々の工業製品を製造し膨大な量の炭酸ガスを排出し続け、そのツケとして、現在、温室効果ガスによる地球温暖化や大規模な気候変動などの結果を招いている。これは人類の存亡に直結する大課題であるが、CO2の排出削減は個別の国家や企業の努力で実現することは困難で、世界的な枠組みの中で政策的かつ段階的に実施する方法を模索する以外にない。しかし、一方では誰でもできる日常的な小さな努力・工夫の蓄積も、国家的・国際的政策に勝るとも劣らない一大重要課題であろう。
筆者は、これまで材料強度学や材料科学の分野と信頼性工学の分野で、長年にわたり種々の研究・教育に取り組んできたが、地球環境問題という人類共通の大課題を前に、最近になってこの問題を少しでも軽減したり、解決する方向の研究に取り組んでいる。折しも、このたび立命館土曜講座の講演依頼を受け、「自然エネルギーの有効利用と低炭素社会の模索」と題し、風力発電・太陽光発電・潮汐発電・マイクロ水力発電・バイオマス発電など、一連の再生可能な自然エネルギーの有効利用による低炭素社会実現に向けた種々の技術開発の現状と今後の課題等について、分かりやすく紹介したいと考えている。
聴講者の感想
電力問題がどうなるかみんな不安に思っている時だと思うのですが、先生の研究が実現して実用化されると安心できるような気がします。風力、水力さまざまな力を利用して発電し、その上に人がもっと素朴な生活に回帰して便利さだけを追うような生活を見直さなくてはならないと思います。