2012年9月29日 (第3031回)

低炭素社会実現のための環境イノベーションとガバナンス

立命館大学政策科学部 教授 仲上 健一

20120929

 2007年の環境白書で初めて「低炭素社会」という用語が登場した翌年の世論調査(内閣府)では、言葉の認知度は3割強、うち9割が低炭素社会の実現に賛同するが、月額1000円以上の家計負担を容認する人は3割に満たない。17%は負担したくないと答えました。これは日本特有の意識と行動のパターンで、認識から行動への転換は、5年が経過した今日においても顕著ではありません。経済的手段も各種開発・実施されていますが、経済的利点が高くないため伸び悩んでいるのが実情です。今年から、いよいよ従来のカーボン・クレジツトの統合化をはかるために、新クレジット制度に向け、環境省、経済産業省、農林水産省による「新クレジット制度の在り方に関する検討会」が設置され、2008年10~11月にスタートした2つの制度(国内クレジット制度、オフセット・クレジット制度(J-VER制度))の在り方について、一定の方向性が示される見込みです。低炭素社会実現のために、環境イノベーションの意味と課題を検討し、そのためのガバナンスについて考えていきたいと思います。

聴講者の感想

 問題意識の醸成は易くても、行動につなげさせることが難しい、ということを踏まえて低炭素社会を実現できればと思いました。行動が大切ということですが、自分の行動と結果の間が広く離れていると、他人事になりがちかと思います。研究されている方だけでなく、市井のものが自らの問題と本気で思い知るような仕組みづくりにも取り組んでもらえたらと存じます。