2012年12月8日 (第3040回)
デジタル技術と文化遺産
立命館大学映像学部 准教授 古川 耕平
“デジタル・アーカイブ”という言葉があります。これまであまり一般に認知されてこなかった単語ですが、デジタル化された文化遺産に関する情報または映像として、テレビ番組やインターネット等で公開が進んでおり、目にしたことがある人が多いと思われます。このデジタル・アーカイブという学問は、デジタル技術の目覚ましい発展と共に1990年代中頃、日本で提唱され、現在では世界中で盛んに研究活動がおこなわれています。私自身、この学問に出会ったのは2004年のことであり、わずか8年しかこの学問と向き合っておりません。しかしながら、このわずかな期間にアナログとデジタルの情報を繋ぐデジタル・アーカイブの世界において見えてきた様々な課題は、今後の物質文化との接し方について改めて考えさせられる切っ掛けとなりました。今回の講座では、実際のデジタル・アーカイブの作成の実例を交えながらお話をさせていただきます。文化遺産をデジタル化するにあたっての課題について、皆様にも一緒に考えていただく切っ掛けになれば幸いです。