2012年12月15日 (第3041回)
祇園囃子の記録と再現-お囃子のデジタル化に挑戦-
立命館大学情報理工学部 准教授 西浦 敬信
祇園祭は京都の伝統行事であり、日本三大祭の1つです。みどころは様々な装飾品で飾られた山鉾(有形文化財)が京都市内をめぐる「山鉾巡行」で、その山鉾の舞台にて演奏されるのが祇園囃子(無形文化財) です。近年の急速なデジタル技術の発展に伴い、歴史的価値の高い重要文化財をデジタル化して保存する技術が注目されている中で、我々は山鉾のような有形文化財に加えて祇園囃子のような無形文化財も併せてデジタル化することで、祇園祭という有形・無形文化財のデジタル保存に挑戦します。とりわけ本研究では、祇園囃子を高忠実に保存・記録するだけでなく、マルチ点音源スピーカを用いてあたかもその場にいるかのような没入感の高い音場再現にも取り組んでいます。さらに、Web上にて手軽に祇園囃子を体験できる「祇園祭山鉾巡行の音場体験Web システム」もこれまでに構築してきました。本講座では、いくつかの祇園音場に関するデモンストレーションも交えて、祇園囃子の音場を体験頂く予定です。