2013年3月16日 (第3047回)

「介護退職ゼロ作戦!」という社会運動

立命館大学産業社会学部 教授 津止 正敏

20130316

 これまで介護は辛くて嫌なもの、できれば避けたいものとされてきた、のかもしれません。育児や介護などケアを排除して成り立つ働き方も「デキる」ビジネスマンの典型とされてきました。四半世紀前、「24時間戦えますか!」とサラリーマンを鼓舞し圧倒的に支持されたドリンク剤のCMもまだ記憶に残っています。しかし、ケアを組み込んだ暮らし方や働き方のほうが、実は人生をより豊かにできるのではないか、と私たちは主張しようと思っています。育児や介護など家族のケアにアクセス可能な暮らしをもっとポジティブに打ち出してみたい。ケアを基準にすればこの社会が抱える欠陥が炙り出され、改革方向がよりクリアになるのではないか、とも思います。私たちはいま仕事や家計、家事、孤立など介護する男性の諸課題を社会化するための新しい社会運動を起そうとしています。「介護退職ゼロ作戦」という社会運動です。