2005年12月10日 (第2755回)

紛争予防と人間の安全保障―武力紛争を未然に防ぐ社会を目指して

大阪大学大学院 国際公共政策研究科助教授 栗栖 薫子

 人間の安全保障は、貧困・災害・感染症など、人間に対する多様な脅威に対処するための考え方ですが、その中でも大規模に人々の生命や生活を脅かすのが武力紛争です。武力紛争がいったん発生してからでは遅すぎるので、まずは紛争自体を未然に防ぐ社会を目指すことが大切であると考えられるようになりました。

 また、武力紛争や内乱が発生した社会においては、放っておくと紛争が再発する危険性が高いといわれます。

 したがって、紛争後において国家の再建や社会の和解のための平和構築をうまく行なっていくことが必要です。

  そのような紛争予防の方法にはどのようなものがあるのでしょうか。政府、国連、そして市民社会、あるいは企業は、武力紛争の予防のために、どのような活動を行っており、どのような困難に直面しているのでしょうか。

 この講義では、こうした観点にたちながら、日本として、あるいは市民として何が出来るのか、についても考える手がかりを探りたいと考えます。