2013年7月13日 (第3062回)

ミャンマーと日本の新成長戦略-Win Winの関係を求めて

日本貿易振興機構(ジェトロ) アジア経済研究所 主任調査研究員 工藤 年博

 2013年5月、安倍晋三首相は日本の首相としては実に36年ぶりにミャンマーを訪れ、テインセイン大統領と会談した。首脳会談で首相は、同国の対日債務およそ5000億円の返済をすべて免除し、新たに910億円の政府開発援助(ODA)を今年度中に供与すると表明した。これだけ巨額の債務救済は、日本の援助史上まれである。

 2011年3月の「民政移管」後、国際社会との関係を改善し、急ピッチで経済改革を進めるミャンマーは、それまでの「アジアの秘境」から「アジア最後のフロンティア」へと変貌した。世界各国の企業がこのフロンティアへ向けて押し寄せてきている。日本企業も例外ではない。日本政府の対ミャンマー支援は、こうした動きを後押しするものでもある。

 新生ミャンマーは新たな政治体制と国際環境のもとで、新たな成長戦略を求めている。日本も長期停滞から脱し、アジアの成長を取り込むための新たな成長戦略を模索している。そうしたなかで、ミャンマーとの経済関係の強化は決して無視しえない重要性をもっている。両国がWin Winとなる成長戦略はなにか、どうすれば実現できるのか、本講座で考えていきたい。