2013年7月27日 (第3064回)

フィールドから読み解くミャンマー農業の底力

立命館大学国際関係学部 准教授 松田 正彦

 ミャンマーは「農業国」だと言われます。人口の多くが農村部に住んでいて、彼らの多くが農業を生業としているからです。一方で、開発途上国であるミャンマーでは、特に農村部における「貧困問題」が、解決すべき課題として頻繁に指摘されます。

 これらから連想されるのは、「貧しい農民」や「遅れた農業」といったイメージでしょうか――。私はおよそ10年間に渡りミャンマーの農村をくり返し訪れて、彼らの生業や生活を調査してきました。すると、たしかにミャンマーの農村には経済的あるいは社会的な困難は多く存在しますが、同時に、自然とうまく付き合うための知恵や技術、あるいは「遅れている」が故のポテンシャルもまた見いだすことができました。

 ミャンマー・シリーズの最終週は、この国の根幹である農業や農村の「素顔」を多くの写真を交えて紹介し、将来の可能性や望ましい発展の道筋を考えてみたいと思います。