2013年12月21日 (第3081回)

役者絵を読む

立命館大学文学部 教授 赤間 亮

 役者絵には、美人画や武者絵、風景画(名所絵)だけでなく、役者絵というジャンルがあります。あまり知られていないことですが、明治時代までに出版された浮世絵の内、約50%は役者絵が占めています。 ところが、役者絵は上演された舞台や出演している役者にその魅力を依存しているために、当代性の高いものであり、時代とともにそれが忘れられてしまいます。また、一時に大量に売出されたため、稀少性という意味で、美術の世界では比較的軽んじられてきた傾向もあり、かつ歌舞伎の内容の理解も必要なため、写楽など、一部の絵師の作品を除いて、海外では最近まであまり人気がありませんでした。 ところが、最近、海外でも役者絵への注目が高くなってきて、つぎつぎと展覧会や図録出版が企画されています。 本講座では、他のジャンルとは少し異なる「役者絵」の理解に必要な知識と、それによって導かれる魅力について、具体的に浮世絵を映像で観賞しながら、体系的にお話ししてみようと思います。