2014年4月12日 (第3089回)

ジェンダー学入門 -「女らしさ」「男らしさ」を通して社会を見る-

同志社大学 グローバル・スタディーズ研究科  教授 秋林 こずえ

 現代社会ではもう男女は平等、という声も最近はよく耳にするようになりました。でも、赤ちゃんが産まれたと聞くと、多くの人の最初の質問は「男の子?女の子?」。また最近の内閣府世論調査では、「夫は外で働き、女は家庭を守るべきである」ことに賛成する人が半数以上という結果も出ています。このように私たちの社会で、性別は重要な要素です。

 すでに一般的にも使われるようになってきた「ジェンダー」という言葉は、それぞれの社会や文化における男性としてのあり方、女性としてのあり方を指すものです。この「男らしさ」と「女らしさ」という、日常生活に深く根付いた考え方やそれに基づく私たちの行動に目を向けて社会の問題や権力構造を考えてきた研究分野がジェンダー学です。

 ジェンダー学が対象とする社会問題は多岐に亘ります。本講義では、「ジェンダー」という概念を紹介するとともに、これまで私が関わってきた、平和と紛争の問題についてジェンダーのレンズを通して考えたいと思います。