2014年9月20日 (第3106回)

地形図を作る、使う

一般財団法人日本地図センター 学術長 野々村 邦夫

 「地形図は宝の山」。2008年秋、NHK教育テレビの「趣味悠々」シリーズで8回にわたり「地形図片手に日帰り旅」という番組が放映され、私はその中で講師役を務めましたが、そこでこのキャッチコピーが何度も流されました。1枚の紙の中に地域の情報をぎっしりと詰め込んだ地形図は、馴染みのある土地を再認識したり、知らないところの風景を想像したりする楽しみを与えてくれます。詳しい知識がなくても地形図は使えますが、知れば知るほど役に立ち、興味津々の情報をもたらしてくれます。踏み込めば誰でも宝を持って帰れる、しかし、知識や技術を心得ているとそれだけたくさんの宝を持って帰れる、そういう意味で地形図は「宝の山」なのです。

 国土地理院在職中、私は実際に現地を駆け回り、地形図を作ってきましたし、地形図作成部門の責任者にもなりました。つまり、舞台裏から地形図を見てきました。一方、仕事で利用したり、大学で教えたりと、地形図のユーザーとしても長年地形図とかかわっています。この土曜講座では、そんな私の経験を基に、地形図の面白さをお伝えしたいと思っています。