2005年4月23日 (第2725回)

京都バーチャル時・空間

文学部教授 矢野 桂司

 最新の3D-GISとVRモデリング技術を最大限に活用して、1200年以上の歴史を誇る京都のバーチャル時・空間が構築される。三方を山に囲まれた歴史都市京都は第二次世界大戦の戦災をほとんど免れたこともあり、戦前の京町家、神社・寺院、近代建築物をはじめ近世・近代の建築物が数多く残存している。また、祇園祭に代表される伝統的な祭事も現在まで多く受け継がれている。

 このような京都の町並みの景観を構成する様々なコンテンツをデジタル・アーカイブとして取り込みながら、現在から過去に向かう形で、4D-GISに基づく京都の町並みの景観復原を行う。その手順は以下のようである。


(1)京都市域の山並みや現在の1つ1つの建築物を特定した3D-GIS

(2)京町家調査や近代建築物調査などの2D-GIS

(3)昭和初期以降の空中写真や大正元年の京都地籍図などの過去の2D-GIS

(4)南座や祇園祭の山鉾などの3D-VRモデル


 最終的に構築される時間次元を取り入れた4D-GISとしての京都バーチャル時・空間には、時代を超えた様々なデジタル・コンテンツを配置することが可能であり、その時・空間を自由自在にタイムトラベルすることができる。