2006年1月21日 (第2760回)

意識改革のすすめ―現代学校教育の基本課題―

文学部教授 林 信弘

 現代の高度に発達した産業社会は、相互に密接に結びついた四つの主要な要素、つまり階級、国家、官僚制、市場の四つの要素から成っている。そしてそのいずれもが、学校を自らの維持・再生産のための従属要素としてフルに利用する。

 いや、それどころか、学校自身がむしろ積極的にその維持・再生産に手を貸しているのである。学校と産業社会のあいだには、容易には断ち切りがたい共犯関係の悪循環がある。

しかし断ち切りがたいからといって、このまま手をこまねいていても、どうしようもない。何とかこの悪循環を断ち切る道を見い出さねばならない。ではどうすればよいのか。我々の心のあり様を変えること、つまり意識改革、それ以外にない。

 では、その意識改革とは、どのようなものであり、どのようなものであるべきなのか。

 今回の講座では、学校病理のマクロ的考察を踏まえつつ、「意識改革のすすめ」というテーマで話しを展開していきたいと思う。意識改革なくして、いかなる教育改革も社会改革も、またいかなる心理療法も成功しないからである。