2014年12月6日 (第3115回)

災害復興に賭ける人・知恵・技術の系譜

立命館大学衣笠総合研究機構・客員研究員 北原 糸子

 「災害復興に賭ける人・知恵・技術」と題してお話をさせていただくつもりです。ここで採りあげたいと考えているのは、関東大震災とその後の災害対応にみられる関係です。関東大震災は、単に関東6府県の災害にとどまらず、日本全体を巻き込む災害であったこと、そのため、被災した人々だけでなく、この事態に対応する行政側のトップ官僚たちの緊張も並大抵のものではなかったはずです。そうした極度の危機的状況の中で編み出されてくるさまざまな事態は、災害状況に直面する時の人の内部に秘められた闇を一瞬露わにさせますが、また、同時にそれに抗する人や社会の力も発揮させます。

 今回は、災害に対応する人と社会の知恵の部分に注目して、そうした見えない部分の知恵と技術が継承されていく事実を追ってみたいと考えています。