2015年7月18日 (第3135回)

研究資料としてのゲーム、その保存と活用

立命館大学立命館グローバル・イノベーション研究機構 専門研究員 福田 一史

 デジタルゲームは全世界で一大産業となり、幅広い普及が進んでいる。あわせてデジタルゲームに対する文化財としての認識や研究的興味も増大しつつあり、知的リソースとしてのデジタルゲームの保存は、重要な研究的対象になりつつある。

 一方で、メディアの経年劣化に起因する寿命の短さ、プラットフォームやメディアフォーマットの急速な陳腐化などにより、数多くのゲームがすでに失われつつあるなど、デジタルゲーム保存は危機的状況にあると言われており、2000年代からその必要性が議論されるようになった。また合わせて、国内外で様々なゲーム保存実践も進んでいる。

 本講座では、まず現在までのデジタルゲーム保存研究とそれらに紐づく実践について、幅広く整理し、紹介する。その上で、日本のデジタルゲームに焦点化し、それらが資料としてどのように研究に活用されているか、またその保存実践として立命館大学ゲーム研究センターで構築をすすめている文化庁・メディア芸術データベース(ゲーム分野)はどのようなものか、といった論点について議論した上で、今後のデジタルゲーム保存のあり方とその課題を展望する。