2015年8月29日

永続敗戦レジームと戦後の終わり

京都精華大学人文学部 専任講師 白井 聡

 新安保法制をめぐって、いま国会では「安倍政権の暴走」「立憲主義の危機」が叫ばれています。しかし、この事態は、戦後日本の歩みから全く不可避的に生じてきたものにほかなりません。安倍晋三とは、戦後日本社会の鬼子であり正嫡です。彼とその取り巻きたちに見られる、混乱した自称保守主義、反知性主義、幼児性、これらすべては戦後日本社会が必然的に産み落としたものであり、戦後という時代の総決算として現れてきています。

 なぜこんなことになっているのか。これほどこの国は無様な国だったのか。私は、著作『永続敗戦論』によって、戦後日本の本質について、自分なりの結論に達しました。第二次世界大戦における敗北、これをあまりに安易な仕方でしか清算しなかったがために、現在の状況がある。安倍政権とは、言うなれば、永続敗戦レジームの純粋形にほかなりません。本講座では、『永続敗戦論』の内容紹介を中心に、今日の事態がどのようにしてもたらされたのか、いかにして今後の平和が追求されるべきか、考察を加えます。