2015年9月12日 (第3138回)

中国とメコン地域開発-日本から見た-

元立命館大学経営学部 教授 井手 啓二

 立命大学経済・経営学部では外国語で講義ができることが任用の一条件という。私は1970年に経営学部に職を得たが,当時,一つの外国語も話せなかった。時代は変わるもの。24年間立命大学にいて私も英語とポーランド語の片言ぐらいは話すようになったが。

 私が東南アジアについて蒙を啓かれたのは,西口清勝氏の研究チームに1990年前後から参加するようになってから。その数年後には長崎大学で「アジア経済論」担当するとは思ってもいなかった。西口氏らと何度も中国や東南アジア諸国に調査・研究会にでかけたことが中国を研究するうえでも大いに役立っており,感謝のみ。ヴェトナムでは「ありがとう」は「カンオーン」,漢字で書けば「感恩」であることを知ったのもハノイで,である。

 中国,東南アジアの躍進はここ30~40年のこと。世界の成長センターであり世界経済の動向を左右するまでになった。2015年の世界はアジアインフラ投資銀行設立に驚き,中国の成長減速化や株バブルの崩壊を憂慮している。メコン地域開発は最も成功した開発計画と言われる。中国と東南アジアが発展の時代にあること,この地域が「戦場から市場へ」と変化したことがその最大の背景であろう。講座ではこのこと述べたい。