2015年10月10日 (第3142回)

立命館戦後史と『百年史』通史Ⅱ、Ⅲの編纂

立命館大学 名誉教授 坂本 和一

 戦後の立命館は、学園復興・振興の時代に築かれた基盤の上に、1980年代からは積極的な学園創造の時代へと大きく展開して今日に至りました。 この新しい学園創造の時代を導いた発想には、日本の大学、特に私立大学の改革に先駆けたいくつかの特徴があったと思われます。 列挙するだけにととまりますが、第一は、これまで日本の私学にありました国立大学追随型の大学づくりを超えて、私学らしい大学づくりに徹してきたことです。第二は私学ならではの社会的ニーズを積極的に取り込んだ、社会の要望に応える大学づくりを進めてきたことです。第三は、そのためにも、大学外の諸組織と連携を積極的に進めてきたことです。その結果として、とくに地域自治体との連携協力により、びわこ・くさつキャンパス(BKC)、大分別府の立命館アジア太平洋大学キャンパス(APU)、大阪茨木キャンパス(OIC)といった大型の新キャンパスを生み出しました。また立命館大学、APUともにスーパーグローバル大学の指定を受ける基礎になった国際化は世界中の大学・諸機関との多角的な国際連携の賜物でした。第四は、戦後早い時期から立命館が築いてきた教職協働、学生参加の組織風土を時代を超えて、育て、活かしてきていることです。 これらの発想がそれぞれの時代に生かされて、改革が進められているところに立命館の変わらざる改革エネルギーの源泉があるのではないかと私は思っています。今回の講座のお話で、この辺のことに少し具体的に触れられますと幸いです。