2015年10月24日 (第3144回)

中川小十郎と草創期立命館

立命館大学文学部 非常勤講師 藤野 真挙

 立命館学園は、学祖西園寺公望・創立者中川小十郎と、学園創立に二人の人物が関わっているという、全国でも珍しい学園史を持っています。「立命館」の名称は、幕末期に西園寺公望が京都御所内の私邸に開設していた私塾の名が、中川小十郎が1900年に創立した京都法政学校に継承されたことに由来しています。

 ではなぜ、西園寺は中川に立命館の名称を引き継ぐ事を許可したのでしょうか。これまでこのことは、幕末における西園寺と中川家との関係や、官界における二人の密接な関係から説明されてきました。しかし、立命館大学が所蔵する「中川家史料」の再調査を通じて、二人をつなぐ重要な人物が浮かび上がってきました。それは、小十郎の叔父、中川謙二郎の存在です。今回の講座では、西園寺と謙二郎、謙二郎と小十郎という繋がりを通して、小十郎が西園寺の“立命館精神”をいかに受け継いでいったのか、そして、草創期立命館が目指した理想を、「専門学」・「夜間部」をキーワードにお話していきたいと思います。