2015年11月28日 (第3148回)

戦後70年・沖縄から問う

沖縄大学 名誉教授 新崎 盛暉

 政府は、普天間代替施設と称する辺野古新基地建設に躍起となっている。沖縄県民は、翁長知事を先頭に新基地建設阻止を掲げて、政府と対峙している。全国紙に報道される範囲の知事と菅官房長官など関係閣僚のやり取りを見ただけでも、そこには、戦後70年をめぐる歴史認識の差が浮き彫りになっているはずだ。日本で唯一生活の場を地上戦の戦場とされた沖縄では、米軍政下で戦後の歩みを始める。ポツダム宣言を受諾し、連合国の間接支配の下に戦後の歩みを始めた日本とは、出発点から違っていた。その後「平和国家日本」と、米軍事要塞沖縄は、一体不可分の関係の中で戦後の歩みを続ける。沖縄返還後は、沖縄への米軍基地集中の状況はさらに強化された。米兵の凶悪犯罪をきっかけとして、沖縄民衆の怒りが爆発した時、老朽化した基地を返還する代わりに、新たな軍事機能を持つ新基地を建設したいというのが、普天間・辺野古問題の発端である。安全保障法案の成立で日米同盟が新た局面を目指して飛躍しようとする現在、辺野古新基地建設阻止は、平和運動の核心的課題となってきている。