2016年1月30日 (第3155回)
電子出版時代における図書館の新たな役割
立命館大学 文学部 教授 湯浅 俊彦
写本の時代に活版印刷が現れ、次第に活版印刷物が主流になったように、電子出版の出現もまた、著作物を伝達し、継承し、保存していくという観点からすれば新たな、そして大きな転換期をもたらすものです。
「書き写す」時代から、「複製」の時代へ、そして物質を離れたクラウド・コンピューティングによる出版コンテンツの「巨大データベース」の時代へと、歴史的にみれば出版メディアは大きな変貌を遂げつつあります。
そして今日のデジタル化された出版コンテンツの新しい流通は、出版ビジネスに寄り添うように進展してきた図書館サービスのあり方をも変えようとしています。
公刊されたものを購入し、利用者の閲覧や貸出に供するという、これまで当然のように行われてきた近代図書館のあり方が、いま問われているのです。
つまり、紙から電子への転換は、「所蔵」から「利用」へと図書館資料の位置づけが大きく変化することを意味しているのです。
電子出版時代における図書館の新たな役割とはなにか? 参加者と共に考えたいと思います。