2016年2月20日 (第3156回)

犯罪を地図から考える-京都の事例を中心に

立命館大学文学部 教授 中谷 友樹

 地域の安全について考えるために、地図を用いて犯罪発生という現象を空間的に考える試みは、古くからなされてきました。地理情報システム(GIS)によって電子化された地図の作成や解析が可能となった近年では、警察による犯罪情勢の分析活動ならびに市民への犯罪リスク情報の配信手段として、この犯罪発生の地図はこれまでになく広く利用されるようになりました。少し分かりにくいかもしれませんが、これら犯罪地図の活用は、公衆衛生の考え方とよく対応するもので、とくに予防と対策という観点で、大きな意味をもっています。

 本講義では、まず犯罪の地理学とGISを利用した犯罪の地図、ならびに空間的な視点に基づいた犯罪予防について、その基本的な考え方を紹介したいと思います。その後で、新しい犯罪地図の可能性ならびに課題について、ひったくりや性犯罪対策など京都での犯罪発生の解析事例と国内外での新しい取り組みを交えながら、考えてみたいと思います。