2016年7月2日 (第3170回)

東南アジアの人身取引

立命館大学 国際関係学部 教授 本名 純

 人身取引の問題は、いまやグローバルな脅威として認識されており、世界各地で予防策や犯罪対策が模索されています。近年の統計では、人身取引の犠牲者は、毎年、地球規模で推定3600万人とも言われており、その約3分の2はアジアの人たちです。被害の実態は様々で、大人や子ども、男性や女性を問わず、強制労働や強制兵役、性的搾取などの目的のために人間が売買されるビジネスが国境を越えて拡大しています。なぜこういう事態が深刻化しているのでしょうか。どういう「悪党」たちが、どういう手段で人身取引ビジネスを広げているのでしょうか。対策にはどのような問題があり、何を変えていかなければならないのでしょうか。私たちに関係のないことなのでしょうか。東南アジアの事例をもとに、これらの疑問を考えて行きたいと思います。