2006年4月8日 (第2768回)

障害者福祉の転換―自立支援法を考える―

産業社会学部教授 峰島 厚

 障害者福祉制度はいま急激に大きく変わろうとしています。当事者や関係者が望んだ改革なのでしょうか。

 2003年度に戦後ずっと続いた措置制度が利用契約制度・支援費制度に抜本転換しました。しかし1年も経たずに「支援費制度は失敗であった」と支援費制度を介護保険制度に「吸収合併」させる話が浮上しました。そしてそれがだめになると、また抜本転換・長期構想「グランドデザイン案(2004年)」が提案され、この4月・2006年度から障害者自立支援法による新制度に移行します。施設などの名称・機能などの抜本転換ですが、それで終わりではなく、さらにその3年後には、介護保険との「統合」議論が約束されています。

 当事者・関係者は急激な転換に振り回されています。この4月から始まる障害者自立支援法による施設会計ソフトもまだ出回っていない状況です。なぜこんな異常なことが、いったいなにが考えられているのか、と考えざるを得ません。

 支援費制度の導入から転換内容を紐解きながら、その本質を考えてみます。さらにそこから実施間もない障害者自立支援法のリアルな諸問題を考えてみたいと思います。