2006年4月22日 (第2770回)
社会保障のダイナミックスと展望
産業社会学部教授 芝田 英昭
社会保障は、とかく難しい学問のように思われますが、私たちが生きていく上では必要不可欠な社会的な制度となっています。
例えば、日本では「保険証」さえあればいつでもどこでも自由に病院に掛かることができます。また、失業すれば、雇用保険から「失業給付」を受けることができます。要介護状態になれば介護保険から「介護費用の給付」があります。さらに、障がい者になったり高齢期を迎え収入が途絶えれば「年金給付」を受給することができます。実はこのように、社会保障は大変身近なものだといえます。
しかし、日本では社会保障の多くが「社会保険」として運営されているため、保険料が払わなかったり加入しなかった者には、給付はありません。日本国憲法第25条は全ての国民に「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を付与しています。
にもかかわらず、同時に一部の者を排除する論理もあります。事実、「保険証」が取り上げられて死亡する事件も起こっています。このような現状を顧みると、社会保険を中心としない新しい社会保障のあり方を模索する必要性を感じます。
皆さんと一緒に新しい社会保障を考えてみましょう。