2017年9月9日 (第3215回)

コンピュータによる文字処理の歴史と展望

立命館大学情報理工学部 教授 前田 亮

 現在Web上では膨大な量の文書が提供されており、日々増え続けています。また、個人の間では、電子メールやSNSでのコミュニケーションがパソコンやスマートフォンなどを通じて活発に行われ、すでに現代の我々の生活に欠かせないものになりつつあります。Web上の文書やSNSで交わされるメッセージは、文字情報が基本となっています。

 このような文字情報あるいは言語情報をコンピュータで扱う技術は、コンピュータの発明以来、多くの紆余曲折を経て、発展してきました。白川静記念東洋文字文化研究所では、甲骨文字・金文・篆文など、現在の漢字の原型となった古代文字をコンピュータで扱うためのフォント「白川フォント」を作成して無料公開しています。現在使われている文字・言語だけでなく、過去に使われた文字や言語をコンピュータで扱うことができる時代に来ています。

 本講座では、文字情報や言語情報をコンピュータで扱うための技術の発展の歴史について紹介し、さらに「白川フォント」の作成の経緯や古典資料の言語処理技術を紹介することで、今後のコンピュータ上での文字処理・言語処理の発展の可能性や課題について、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。