2017年12月9日 (第3223回)
アジアにおける「観光の風景」を読む ―マレーシア・タイ・台湾の少数民族観光―
立命館大学文学部 特命教授 藤巻 正己
観光のグローバル化の進展のなかで、東・東南アジア諸国・地域は国際的ツーリズムにおいて主要な観光目的地となることを目指して、外国人観光者の集客を企図して、多様な「観光商品」の開発に取り組んでいる。「先住民族観光」
「先住民族」「少数民族」は当該国・地域において、これまで主流社会から疎外された「周辺的社会集団」として「排除」の対象とされてきた。しかし、国際的ツーリズムの拡大・深化に伴い、「観光立国」を目指す当該国・地域政府は、周辺的社会集団を観光開発戦略の枠組みに「動員」(「包摂」)する動きをみせるようになった。つまり、「観光」発展を契機に、「先住民族」「少数民族」という周辺的社会集団は「排除」の対象から「包摂」されるべき対象として利活用されるようになった。
本講義では、マレーシア・タイ・台湾を事例として、こうした「先住民族」/「少数民族」観光の現状と問題について言及したい。