2018年4月7日 (第3235回)
コグトレとは何か?――社会に貢献する人間科学の実践
立命館大学産業社会学部 教授 宮口 幸治
私はこれまで少年院で勤務してきました。非行少年はおおよそ小学校低学年くらいからさまざまなサインを出し始めます。しかし周囲の大人にはほとんどが気づかれず不適応行動につながり、中学に入ると怠学、不良行為などに至り、さらに非行や犯罪をして被害者を作り警察に逮捕されます。少年鑑別所に送られて、そこで初めてその子には何らかの障害があったことに気づかれるといったケースも少なくありません。
障害者は本来守られるべき存在ですが、それが学校で気づかれずいじめ被害などに遭い、犯罪者になって被害者を作っているような現状もあるのです。少年院経験者の半分近くは刑務所に入ります。また成人受刑者の中には何らかのハンディをもっているケースも多々あると考えられ、彼らはかつて学校や社会では気づかれず、忘れられてきた人々なのです。
本講座では、そのような彼らを少しでも早期に見つけ支援し加害者と被害者を減らすことを目的に、彼らの現状や特徴、現在の支援の課題点をご説明し、少年院矯正教育から生まれ、現在、特に学校教育で注目されている具体的支援法である『コグトレ』についてご紹介させて頂きます。