2018年5月12日 (第3239回)

ゲームと中国

立命館大学映像学部 教授 中村 彰憲

 かつて中国と言えば、「著作権ビジネスの暗黒大陸」というイメージが付きまといました。中国に赴任したひとや、派遣されたひとであれば明らかなとおり、海賊版のCDやDVDといったものが巷にあふれていたからです。ですが、現在中国はアメリカの総人口以上のひとたちがゲームを楽しむ、世界最大の市場へと変貌をとげています。とはいいながらも、中国においてはゲーム産業形成の過程から発展の経緯まで日本のそれとはまったく違っています。というのも、ゲーム産業においても、わずか10年前までは海賊版が溢れ、現地の経営者も含む多くのひとが、中国という特殊な国情おいてゲームを事業として成立させるのは困難だと思っていたからです。 では、中国におけるゲーム産業は、海賊版が横行していた時代から如何に脱し、ビジネスを成立させながら巨大化し、現在に至っているのでしょうか?一体、どういった作品が受け入れられ、どのように享受されているのでしょうか?本講座では、隣国の状況でありながらヴェールに包まれている中国ゲーム産業の現状を俯瞰しつつ、今後はどのような発展が見込めるのか、その発展の先に日本企業は如何なる役割を果たせるのか探求していきます。