2018年5月26日 (第3241回)

日本のゲーム文化と世界〜浮世絵からマリオまで

立命館大学映像学部 教授 細井 浩一

 KoichiHOSOI2016年8月21日に行われたリオデジャネイロ・オリンピック閉会式で、人気のゲームキャラクター「マリオ」に扮した安倍晋三首相が登場したことはまだ記憶に新しい出来事です。次の東京オリンピックを喧伝するために行われたこのイベントには、他にもパックマンといったゲームの、あるいはマンガやアニメのキャラクターが多数登場していました。このことは、世界の人々の日本のイメージとしてマンガやアニメ、ゲームといったポップカルチャーが浸透していることを間違いなく示しているのですが、それではどうして安倍首相はマンガ、アニメではなく、ゲームのキャラクターに扮したのでしょうか。

 この点を考えていくと、19世紀後半に日本から輸出された磁器の緩衝材として西洋に「発見」された北斎などの浮世絵、錦絵などと、すでに大きなにブームになっていたゲームという新しい大衆娯楽文化の中で世界に「発見」された日本製ゲームに通底するいくつかのポイントが見えてきます。今回は、文化庁のメディア芸術連携促進事業として実施しているゲーム保存に関わる世界中の方々との交流を通じて、世界の人々の日本のゲームへの視線、見方から浮かび上がってくる日本固有の文化創造力とその根源の一端、についてお話ししてみたいと思います。

※配布しております、「土曜講座だより」では冒頭のリオデジャネイロ・オリンピックの開催日が“2017年”となっておりますが、“2016年”が正しい年です。