2006年7月8日 (第2779回)
国際化の中の英語教育 ―「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」の試みと挑戦―
立命館宇治中学校・高等学校教頭 小川 多聞
日本の高等学校での英語教育はこの数年間、徐々にではありますが、かなり大きく変化してきたと考えられます。
従来の高等学校での英語教育は「大学入試は先ず英語から」という言葉に支えられ、長く入試勉強の中心を占めてきました。一方、高校生が持つ英語運用力は世界で求められている水準からは大きく立ち後れているともいわれてきました。
そこで、文部科学省はグローバル化が進展する中、子ども達が21 世紀を生き抜くためには、国際的共通語となっている「英語」のコミュニケーション能力を身に付けることが急務であると考え、日本人に対する英語教育を抜本的に改善する目的で「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」を打ち出したのです。
特に中等教育の分野に対し、先進的な英語教育の実践研究校として「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」(初年度16校、3年間で計100校指定)指定を行ないました。
その実質的な目的は先進的英語教育実践校の成果をより広く、より多くの高等学校へ広げることでした。必然的に「英語の授業」は入試対策から運用力育成へ方向転換が要求され、国際化時代の英語授業は様々な工夫が加えられるようになっていきました。
現在、高等学校での英語教育課程は何を目指し、何を意識して作られているのか、また、英語の授業はどのようにして出来上がっていくのか等について、 2002年度より2期に渡ってスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール指定を受けている立命館附属高等学校の英語教育を例に挙げながら紹介したいと考えます。そして、これからの英語教育の方向性についてもみなさんと一緒に考えてみたいと思います。