2020年4月4日(第3308回)

現代イスラームの宗教文化と活力源

立命館大学アジア・日本研究所  所長・ 立命館アジア・日本研究機構 教授 小杉 泰

 イスラーム世界はまだまだ遠いと思っていらっしゃる方も、海外旅行や日本に来る観光客の方を通じてコミュニケーションの体験があって、親しみを感じている方もいらっしゃると思います。私は、最初に留学したエジプトを皮切りに、イスラーム圏の国々や欧米のムスリム移民コミュニティなど、およそ40カ国くらいでイスラームとつきあってきました。

 面白いことが本当にたくさんあって、それに夢中になっているうちに半世紀近くも過ぎてしまった感じです。一番面白いのは、宗教が日常生活や社会の隅々にまで生きているところです。しかも、「宗教」と言っても、私たちのイメージと非常に違います。たとえば「結婚するのが宗教的にいいこと」とか、「皆にごちそうして、仲良くご飯を食べるのが信仰心の現れ」とか、「断食が大好き」とか。そんな人たちが世界中に19億人もいて、子どもも多くて、なんだか元気いっぱいなのです。

 

 そんなイスラーム世界の雰囲気を感じていただけるように、無利子のイスラーム金融や、日常生活の中のイスラーム法などの実例に触れながら、お話をしたいと思います。