2020年9月26日 (第3323回)

歴史の謎を解く鍵としての白川文字学 〜岡野玲子 漫画作品の制作から〜

漫画家 岡野 玲子

 私が執筆致しました漫画「陰陽師」は夢枕獏氏の原作でありますが、描き進めるうちに原作から離れて、主役の天文博士安倍晴明の実在した、平安時代の史実に基づいた物語へと変わって行きました。当時の天皇や貴族の日記、古代中国の史料などから知り得た、歴史の中の不明部分を解く鍵を、いかにして白川文字学・白川博士の著作物から得ることができたか、また「妖魅変成夜話」など他作品への視覚的な影響、漢字の成り立ちの姿と意味の多重性の魅力。

 そして、別冊太陽「白川静の世界」での白川静博士との対談の記憶を辿りたいと思います。

 本日9月26日は、奇しくも安部晴明公のご命日にもあたります。

 毎月立命館大学内で開催されています「立命館土曜講座」。今年は2月以降中止していると伺いました。講座再開の最初の回に、白川博士、安倍晴明公二人の偉大な故人の命のご縁を受けまして、パンデミック後の新しい価値観の世界で 私たち後世の知的探求心や、東洋の精神性の豊かさをさらに幅広く開いて発展させて行けますよう、そのお役にたてれば幸いと存じます。