2006年7月29日 (第2782回)

文理融合教育を柱に世界水準の人間形成を目指して ―「新たなスーパー・サイエンス・ハイスクール」としての取組み―

立命館守山高等 校長代理 小畠 敏夫

 今後ますます複雑化する自然科学・技術にかかわる社会問題を理解するためには、科学技術の理解に加えて人文・社会科学的理解が欠かせない状況にあり、科学・技術・社会の相互作用を中等教育の段階から自覚的に学ぶことが求められています。

 本校では理数科目は生涯学習の基礎となる共通履修と位置づけて、文系志望者も含めて全員必修とし、国語・社会等も軽視しない文理総合履修カリキュラム編成(3年間で 99単位)を行っています。すべての生徒に科学的素養の基礎を培うことで、豊かな創造性を有し、知識なり情報を適切に選択、吸収して、直面する問題の解決を可能にする基礎能力の育成をめざしています。

 またスーパーサイエンス・ハイスクール研究指定校として、「科学技術工房(Sci-Tech Labo)」を拠点に展開するものづくりや技術現場から科学を学ぶ「科学と技術の統合的教育」、科学技術への社会的要請や政策・将来動向の学習など内発的な動機づけを重視する実践を通して、より多くの生徒が理系分野への興味関心を高めることをめざしています。

 「理科離れ」や「学力低下」論争、学習指導要領の学力重視に向けた見直し、中等教育の多様化・複線化の進行などの傾向が指摘されている今の日本の中等教育情勢を、私たちはどのようにとらえればよいのか、また21世紀中等教育の課題は何なのか、立命館守山高等学校の高大一貫教育の取り組みを通して、ご一緒に考えていきたいと思っています。