2006年8月5日 (第2783回)
受診とショッピングの違い
立命館保健センター医師・教授 中川 克
我家には、流行の薄型テレビがまだありません。高価であるし、機種が多様であるため悩んでいるうちに買いそびれています。高い買い物をする時には、見積もりをとったり、性能を比較したりします。ところが、医師に受診する時はどうでしょう? 「良い医者を選ぶ本」などを参考にしたり、知合いの紹介で良い医師を探すことがあります。でも、受診料や手術料金などの相見積もりをとることは聞いたことがありません。
一般的には、近所の開業医や病院をとりあえず受診して、まずは診断を受けるのではないでしょうか。その際、契約書を交わすことはありますか? 法律的には、医師と患者の間には「医療契約」関係があると言いますが、意識されることは無いのではないでしょうか? 診療行為に際して、医師が利益・不利益等の説明をしたうえで、患者さんの納得(同意)を得ることを「インフォームド・コンセント」と言い、患者が念のために他の医師の意見を聞くことを「セカンド・オピニオン」を得ると言います。患者主体の契約関係を実体化することが考えられているのです。
本講座では、ショッピングと比較しつつ、受診に際する幾つかの問題点を整理してみたいと思います。