2006年9月2日 (第2785回)

プロデューサーは教育で養成できるか ―デジタル環境下におけるコンテンツ教育の課題と展望―

政策科学部教授 細井 浩一

 20世紀に発達したデジタル・テクノロジーは多くの映像表現を生み出し、その発展はいまだ急速な革新の途上にあります。映像は、更なる発展が見込まれる重要な文化産業であると同時に、コミュニケーションのツールという側面を持ちます。また、当然ですが、人々の精神に豊かさを与え、時として社会を動かし、国際交流を促進し、その国の文化力の指標となる芸術の一つでもあります。

 このような映像コンテンツに関連する人材育成と産業振興は、諸外国と同様に我が国でも重要な課題となってきました。 とはいえ、デジタル技術による制作と流通の革新が急速に進む現在、映像コンテンツをめぐる環境は大きく変わりつつあります。

 映像表現に対する深い理解と、デジタル映像技術、情報ネットワーク技術に対応できる能力の両方を備え、映像コンテンツを文化的、産業的、地域振興的文脈において有益な社会的リソースとして利活用できる人材は、はたして学校教育で育成していくことができるのでしょうか。

 本講座では、「プロデュース能力の養成」あるいは「プロデューサー・マインドの涵養」という視点からこの課題について検討していきます。また、立命館大学が来年に開設する「映像学部」の教学デザインやカリキュラムの紹介も兼ねながら、映像コンテンツ系人材養成の具体的なプログラムについて可能性と展望を示したいと思います。