2022年12月3日(第3369回)

現代日本語における漢字の使用実態と漢字政策

立命館大学文学部 教授 小椋秀樹

 漢字に関する国の施策としては、「常用漢字表」(文化庁)、「学年別漢字配当表」(文部科学省)、人名用漢字(法務省)、JIS漢字(経済産業省)といったものが挙げられます。複数の施策があり、所管する官庁も複数にまたがっています。このうち、「常用漢字表」は、我が国の漢字政策の基盤と言えるものであり、極めて重要なものです。

 「常用漢字表」は、「当用漢字表」(1946年)を改定し、1981年に実施されたものです。その後、2010年に改定されました。「常用漢字表」の改定に当たっては、文化庁が様々な漢字調査を行いましたし、国立国語研究所も構築途中の『現代日本語書き言葉均衡コーパス』を基に様々なデータを審議資料として提供しました。

 今回は、国立国語研究所の語彙調査、コーパスを基に、「常用漢字表」改定前の漢字使用の実態を把握した上で、2010年の改定について評価、検証を行います。