2023年2月25日(第3374回)

代測定の最前線ー放射性炭素年代測定と水月湖

立命館大学グローバル・イノベーション研究機構 助教 山田 圭太郎

  “過去”を理解するうえで年代は欠かすことのできない重要な情報の一つです。年代を決める方法は様々なものがありますが,放射性炭素を利用した“放射性炭素年代測定”は,過去5万年間の年代を決定するための定番手法として,気候変動をはじめ,地震,洪水,噴火などの自然現象や土器や化石などの考古試料の年代決定などに幅広く利用されています。

 しかし,大気中で生成される放射性炭素の量は,太陽活動の変化などによって刻々と変化するため一定ではありません。そのため,正確な年代を決めるためには過去の放射性炭素濃度を正確に知る必要があります。福井県水月湖,そこに眠る“年縞堆積物”は,過去の放射性炭素濃度を正確に復元可能な稀有な試料として,今なお世界の放射性炭素年代測定を支えています。

 放射性炭素年代測定とは何なのか,年縞堆積物とは何なのかについて,水月湖における研究史を中心に,最新研究も交えながら紹介できればと思っています。