2005年5月21日公開講演会

昭和の青年の夢と挫折―高見順の文学世界

評論家 川本 三郎

 5月21日(土)、衣笠キャンパス以学館1号ホールにて、立命館大学衣笠総合研究機構主催の公開講演会が開催された。本講演は「昭和の青年の夢と挫折-高見順の文学世界」と題し、文学、映画など広い領域で活躍されている評論家の川本三郎氏を講師に招いて行なわれた。

 今回の講演では、高見順という近来忘れ去られがちな作家を取り上げ、彼が生きた時代とそこに真正面から挑んでいく彼の青春のあり方について語られた。川本氏は、今を生きる私たちの「日常」とは何か、私たちの「現実」とは見えているものだけなのか、考えることの重要性について述べた。

 さらに川本氏は、大正期から昭和にかけて東京という都市がどのような変遷をたどり、文化にどのような結果をもたらしていったかという思考について提言した。大きな歴史の流れに身を置く人間の感情が、どのような生成を示し、懐疑や慨嘆を経て、彼らの生き方を決していったかを示唆した。川本氏の著書の数々は、人々との対話によって生み出されており、本講演でも聴衆とともに、文字でしか語ることのできない歴史の記憶について共有し、思考する時間を送った。

 なお、この講演会は衣笠キャンパス5月の土曜講座「文学の記憶―歴史としての〈昭和〉―」とも連動している。