2023年11⽉11⽇(第3391回)

刑事司法における脱刑罰処理を考える︓ 治療的司法がもたらすインパクト

成城⼤学法学部教授 成城⼤学治療的司法研究センター⻑ 指宿 信

 罪を犯した人の再犯を防止するには、刑罰だけでは十分ではありません(実際には実刑で刑務所に行く人の割合は50%程度で、それ以外は執行猶予です)。その人が抱えている根本的な問題を解決することで初めて可能になります。そのためには、刑事司法手続において、福祉などの支援や心理的サポート、自助グループ活動、依存症治療といった様々な社会的資源を活用し、法分野のみに依らず多様な分野の専門家や当事者の関与が有効です。そこで、罪を犯した人の更生と社会の安全を確保しようとする思想である「治療的司法」、それを支える「治療法学」について学びます。