2024年02⽉03⽇(第3396回)

埋められた歴史・ 旧⽇本軍朝鮮⼈軍⼈軍属とその慰霊

⽴命館⼤学 名誉教授(元 ⽴命館⼤学 学⻑) 川⼝ 清史

 日韓関係は慰安婦、徴用工など強制動員への補償と謝罪をめぐる緊張した問題がつづいています。強制動員には旧日本軍の朝鮮半島出身者の軍人軍属もありますが問題は日本で知られていないばかりか韓国でも大きな社会問題とはなっていません。それはそのごく少数に旧日本軍の将校・下士官がおり、日本の植民地支配の協力者とみられているためです。しかし、24万人から37万人と発表されているその大半は社会的な強制を伴う「志願」兵、徴兵です。彼らはアジア太平洋全域での無謀な戦闘に狩り出され、2万数千人とされる死者をだしました。援護法での国籍条項その後の「日韓基本条約」による補償からの排除、BC級戦犯、シベリア抑留、何の補償もなく路頭に放り出された傷痍軍人など多くの問題がありました。朝鮮半島出身戦没者はだれが慰霊しているのでしょう。靖国神社の慰霊に彼らは納得しているのでしょうか。厚生労働省が保管する1135柱の遺骨の返還はどうなっているのでしょう。戦後80年を迎えるのに返還の見通しはあるのでしょうか。多くのそして大きな問題を孕んでいますが、この負の歴史を共に知ることから日韓の未来が進んでいくのではないでしょうか。