2024年02⽉17⽇(第3397回)

福島県の健康課題︓ 2型糖尿病に対する産官学連携による取り組み

福島県⽴医科⼤学 衛⽣学・予防医学講座 講師 ⽇髙 友郎

 福島県における健康課題の一つは、2型糖尿病対策です。糖尿病を治療せずに放置すると手足の痺れや壊疽、視力低下や失明、そして腎臓の働きが低下することによる透析治療の開始など、重大な合併症を招いてしまいます。

 患者の多くは職場や地域で受けた健康診断がきっかけとなって、糖尿病に気づき、病院での治療を開始します。ところが、糖尿病になったからと言ってすぐに症状・合併症が出るわけではないため、治療の必要性を感じることが難しくなり、途中で通院をやめてしまうケースもあります。

 患者の継続治療を支えるためには、本人の「意志の強さ」のような属性も大切ですが、それに加え、病院へのアクセスや仕事と治療の両立などの環境整備が大切になります。その実現のためには、病院などの医療の場を飛び出して、地域の行政や住民、さらには企業とも協力し合いながら、糖尿病改善に取り組むことが必要です。
本講演では、①現在の日本における2型糖尿病の状況、②福島県郡山市で実施されている産官学連携による糖尿病対策プロジェクトの成果(患者へのアンケートとインタビューの併用)、③地域の中で自律的に健康を高めていくことの大切さ、をお伝えします。