2024年03⽉23⽇(第3400回)

現代イスラームが取り組む「人権」問題

立命館大学衣笠総合研究機構 准教授  池端蕗子

 現代に生きるイスラーム法学者たちは、目まぐるしく変容する時代の流れの中で新しい法解釈を生み出し続けてきました。新しい科学技術、医療技術、経済システムが登場するたびに、それらの現代的な課題について、一体何がどこまでイスラーム法に適う営みであるかを考慮し続けてきました。彼らが生み出す法解釈は、一般のイスラーム教徒たちにとっては「より良いイスラーム教徒として生きる」あるいは「より良い社会を形成する」ための指針のひとつとなります。

 「人権規範」についても、イスラーム法学者たちは検討を重ねてきました。それでは、教育を受ける権利、表現の自由などは、イスラーム法の立場からはどのように考えられてきたのでしょうか。そもそも「人が生まれながらに持つ権利」とは、どのように解釈されるのでしょうか。

 確かに「イスラームの名のもとに」人権侵害が行われる事例は複数存在しています。しかしその一方で、イスラームの立場から人権を守る必要性を説くイスラーム法学者たちも数多くいます。本講演では、国際的に活動する彼ら法学者たちにスポットライトを当ててお話しします。